【Health Science Blog】Vol.9 「50、49、48・・・と数えながら歩けますか?デュアル・タスクで分かる中枢神経系の健康状態。」

私のミッションの核になるものに、シニアの方たちの歩行能力の改善があります。
そして、そのためには、まずは歩行能力を適切に評価する必要があります。

これから様々な簡易評価方法を紹介していきたくは思いますが、今回は第一弾として、脳と脊髄に問題があるかどうかを診断する簡単な方法をお伝えします。
普通に歩くことはできても、実は歩行障害の予備軍である場合もあります。それを早期発見して対応していくことが、望まれる対策となります。
この方法は、色々なオプションをつければ、より様々な評価が可能となります。

皆さんは、デュアル・タスクという言葉を聞いたことはありますか?
日本語では、二重課題・多重課題(multiple task)などとも言われています。
デュアル・タスクとは、二つのことを同時にすることになります。
これを歩行時に行うと・・・普段見えなかった弱点が浮き彫りになることがあります。
簡単にできる診断方法なので、危険には十分注意したうえでご活用いただきたく思います。
今回の論文は、オープンアクセスなのでダウンロード可能です!

Auvinet, B., Touzard, C. Montestruc, F., Delafond, A., Goeb, V. 2017. Gait disorders in the elderly and dual task gait analysis: a new approach for identifying motor phenotypes. Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation, 14 (7).

■中枢神経の問題による歩行能力の低下
70歳以上の約35%、80歳以上の72%が何かしら歩行障害を抱えていると言われています。それによって、普段の生活を送るのが難しくなり、転倒による怪我や入院のリスクも高まってしまう傾向にあります。これらの原因は、下肢などの物理的な衰えが原因となることもありますが、中枢神経系(脳・脊髄)の問題による場合もあります。

例えば、65歳以上の25%は、何かしらの認知障害(軽度認知障害も含む)を抱えていると言われています。歩行においては、様々な脳の領域が共同で働いて行われていることから、認知力の低下などと同時に歩行能力の低下が起こることも多々あります。普段、認知力や歩行能力に問題が見られない人でも、中枢神経にわずかな問題を生じている場合、デュアル・タスクを行うのが難しくなるという報告があります。つまり、デュアル・タスクを課したうえで歩行パターンを見ると、その人が中枢神経に問題を抱えているかどうかの目安になる可能性があります。

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■歩行パラメータの選び方
中枢神経系の問題が反映される歩行パラメータは多岐にわたりますが、この研究では「ペース・リズム・変動性」の3つに絞って実験を行っています。「ペース」とは歩行速度のこと、「リズム」とはケーデンス(1分で何ステップするか)、「変動性」とは同じ歩行パターンを維持できるかどうか、を意味します。デュアル・タスクは「50,49、48・・・」50から逆に数えていくことと、歩くことを同時に行うことです。

デュアル・タスク歩行を行うと・・・
デュアル・タスク歩行を行うと、歩行速度が下がります。そして、歩行の変動性が上がります。つまり、ゆっくりと歩き、常に同じ歩き方を維持することが難しくなるのです。これらは、「物忘れの多い人達・歩行が安定しない人達・何度も転倒する人達・虚弱な歩き方をする人達」において、共通して見られた傾向でした。つまり、普通に歩いていて問題が無い人は、デュアル・タスク歩行を行って「ゆっくり歩きになって、一定の歩き方ができないかどうか?」を確認してみると良いでしょう。ただし、このテストを行うことは、若干の危険を伴う可能性があるため、十分に注意して行いましょう。

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■さらなるデュアル・タスク
今回の論文で紹介したデュアル・タスクは比較的シンプルなものですが、難易度を上げることは可能です。良く使われるものとしては、「計算を行いながら」というものです。例えば、「200から7を引き続ける」などのタスクを課すことで、単に50を逆から数えるよりも段違いに難易度は上がります。あとは、例えば水をたくさん入れたコップを持ちながら歩くなども注意分散力を要するために多重課題性があります。もっと簡単な方法としては、会話をしながら歩くこともデュアル・タスクになります。歩行能力が低下した人に話しかけると、立ち止まってから応答することが多々あります。これは、デュアル・タスクを回避していると考えることができます。こうした理由から、例えばトレッドミル歩行を行いながら、デュアル・タスクを行うのはかなり危険を伴います。相当な安全確保の対策をしていない限りおススメはできません。昨今では、「歩きスマホ」などが問題として挙げられていますが、これもデュアル・タスクにより歩行力が落ちて転倒したり、ぶつかったりすることが若年者においても起こることがあるからです。

このようにデュアル・タスクは、普通に歩ける人達が、歩行障害のリスクがあるかどうか、予備軍かどうかを判断するのに役立つコンセプトです。そして、十分に注意は必要ですが、こうしたデュアル・タスク性をトレーニングすることは、脳機能の改善とそれに伴う歩行能力の改善にも繋がることが期待されます。

最後に・・・
ISEALインソールのご活用もご検討ください。これは、履いているだけでバランスを向上させる機能があるので、デュアル・タスクを含む歩行機能の低下をカバーする効果があります。

(文章:Victoria大学 長野放博士)

【痛快科学番組】Vol.1 「夕陽に隠されたエネルギーの秘密」《YouTube科学番組スタート!》

【痛快科学番組!ゴンちゃん&ミクロちゃん】 ー世界と宇宙の秘密を明かす旅ー

子どもや若者の科学離れを解決するために、今までわかっていることや、これから明らかにしてほしいことを織り交ぜながら、科学に興味を持ってもらいたいと願い、番組作成を開始しました。これがきっかけで、世界や宇宙に希望を持ち、生きる楽しみを広げるきっかけになれば幸せです。内容はできるだけわかりやすくポップにお伝えしていますが、大人でも楽しんでいけるように本格的な内容を扱っています!

■物語の内容■
タイムマシンを作り恐竜時代に行きたいネズミの「ミクロちゃん」。
食べ物の3Dプリンターを開発して食べ放題したい食いしん坊の犬っころの「ゴンちゃん」。
実は宇宙会議に呼ばれている科学者の「はなつ先生」。
科学の魅力を教えてもらいながら、地球や宇宙の神秘を知り、またま明らかになっていない秘密に挑んで行く2匹と1人の科学旅番組!

【痛快科学番組】Vol.1
「夕陽に隠されたエネルギーの秘密」

なぜ、日中と夕暮れ時では、太陽の色が違うんだろう?
ゴンちゃんとミクロちゃんは、自然の不思議に興味津々です!

https://youtu.be/WaRIuXe7uD0
(キーワード:「痛快科学番組」を検索してね!)

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【Health Science Blog】Vol.8「シニアの人に有効な歩行トレーニングってなに?」

歩行能力は生活において非常に大切ですが、加齢とともに低下していき、最終的には自力で自由に移動をすることが難しくなるケースが多いということは、高齢化が進んでいる日本にとっては大きな問題です。
歩行能力を可能な限り維持しておくことが、健康で高いQOLを維持した人生を送るのに必須なのは言うまでもありません。また、社会保障制度全体を考えた場合でも、シニア層が可能な限り自由に歩いて移動できる方が、医療介護費を減少させることが可能となるわけです。

こうした理由から、シニアの人たちは、歩行能力を向上していくことが様々な面において大切になります。歩行能力というのは、一言で表すのは難しく、様々なデータから総合的に判断するべきものです。さらに言うと、「転びやすいかどうか?」「膝を痛めやすいかどうか?」など、より特定された問題に対しては、ただ単に歩き方を少し見ただけでは正確に判断するのは難しい可能性があります。

こうした大前提は認めたうえで・・・歩行能力の低下を無理やり一言で表せば「歩行速度の低下」と言うことも可能です。もちろん、これは完璧な答えとは程遠いわけですが、特に細かい測定などをせずとも、歩行速度が低下してくれば、歩行能力が低下してきたことが懸念されます。このように、詳細まで正確に検査し、特別な手法を用いてこうした弱点を乗り越えていかないのであれば、大雑把に言えば「速く歩ける能力」を維持し、改善していくことが大切になってきます。

私のような世界的に見てもごく少数のバイオメカニクスマニアを除けば、医師であろうとも、健康科学の専門家であろうとも、「歩行速度」「歩数」などの一般的なデータを基に健康を判断するのが普通です。そのための診断方法としても、6分間歩行(6分間で何メートル歩けるか?)、TUG(椅子に座った状態から立ち上がり3m先の目印まで歩き、折り返しまた椅子に戻って座るまでの時間の計測)など比較的簡易でどこでもできることが利用されがちです。そのため、こうしたデータが多く集まり、ある程度正確に総合的な歩行能力の測定においては、役立つ指標であると考えられています。
そうした中で、具体的にはどのような方法で歩行能力を改善させることができるのでしょうか?

今回は、比較的に簡単にできる方法として「歩行トレーニング」と「筋力トレーニング」の2つに焦点をあて、どのような効果が期待できるかについてお話をします。さらに、ほかにはどのような点を考慮していけば、より効果的なトレーニングになるかについても、考察していきます。

Henderson, RM., Leng, XI., Chmelo, EA., Brinkley, TE., Lyles, MF., Marsh, AP., Nicklas, BJ. 2017. Gait speed response to aerobic versus resistance exercise training in older adults. Aging Clinical and Experimental Research, 29 (5): 969-976.
Brach, JS., VanSwearingen, JM. 2013. Interventions to improve walking in older adults. Current Translational Geriatrics and Experimental Gerontology Reports, 2 (4).

シニア層が歩行能力を改善するために行える運動として、①有酸素運動 と ②筋力トレーニング を比べました。両方とも5カ月間行ったところ、両方の運動において「普通に歩く速度」が上昇しました。有酸素運動においては、早歩きの速度も上昇しました。運動を行う前の健康状態が高い人ほど高い効果が得られました。

有酸素運動について
ここでいう有酸素運動とは、トレッドミル歩行になります。最初は、最大心拍数の50%の心拍数が維持される速度で15分~20分トレッドミル歩行を行い、第6週からは、最大心拍数の65~70%で30分トレッドミル歩行をするようにしました。

筋力トレーニングについて
マシントレーニングを行いました。筋力トレーニングは①レッグプレス、②レッグエクステンション、③シーティド・レッグカール、④シーティド・カーフ、⑤インクライン・プレス、⑥コンパウンド・ロウ、⑦トライセプス・プレス、⑧バイセブス・カールになります。基本的に10回を3セットで、重さは最大値の70%で設定されなした。

エクササイズ②

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エクササイズ②

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まとめ
両方のトレーニングにおいて、約0.2m/sの速度上昇(0.72㎞/h)が見られました。結論としては、トレッドミル歩行の方が早歩きの速度が上昇したために、効果的な可能性があると言われています。

「悪いところを直す」というよりは「特定の動作のトレーニング」が有効
上記の通り、普通にトレーニングをしても歩行能力は上昇する可能性が高いのですが、5カ月間かけて定期的にやる割には、効果が少ないのではないか?という考えもあります。その場合に、悪いところを見つけて、そこを補っていくという考え方というよりは、特定の動作を身に着けることを目的としたトレーニングを行うべきだと言われています。
つまり、大腿四頭筋の筋力が低下しているので大腿四頭筋を強化する、という考え方は有効ですが、必ずしも歩き方のトレーニングをしているわけではないので、特定の動作のトレーニングの方が有効であると考えられています。特に、「タイミング」と「共同作用」を意識したトレーニングが必要だと報告されています。こうした理由からもトレッドミル歩行がひとつ推奨される運動であると言えます。
トレッドミル歩行の利点は、常に歩行速度が一定である上に、同じタイミングでステップをする練習になりやすいので、結果的に歩き方のトレーニングとして効果的である可能性が高いと言えます。さらに、トレッドミル歩行はシニア層にとっては、比較的レベルの高い運動となるため、普段の歩行を楽に行うためにも、こうした難しいトレーニングをしておくことが役立つ可能性があります。トレッドミル歩行については、また別の機会に詳しく説明したく思います。トレッドミル歩行の注意点としては、地上で歩くよりも遅くしないと歩き切るのが大変だということと、ハンドレールを持つ場合は横を持つ方が姿勢が前傾しないので有効な可能性が高いということが挙げられます。

最後に、トレッドミル歩行を行う際に、ISEALインソールの併用もご検討ください。ISEALインソールは、表面に突起があり、その突起をかかと着地からつま先離地までなぞるようにしていけば、自然と正しい足首の使い方をマスターできるように設計されています。トレッドミル歩行で一定の歩き方を身に着けるのであれば、それは正しい歩き方である必要があります。その際に重要になる足首の使い方を簡単に学べるという意味においても、ISEALインソールをご活用ください。

(文章:Victoria大学 長野放博士)

【Health Science Blog】Vol.7「エネルギー効率の高い歩き方ってどういうこと?」

疲れにくいうえに、足首や膝に負担がかからない歩き方を身に着けたくないですか?

それこそが、エネルギー効率の高い歩き方と言えます。人間はもとより全ての動物の歩行は、「エネルギー効率を最大化する」という目標が本能的に備わっていると言われています。

これは、限られた食料の中で移動にかかるエネルギーを極力減らしていかなくてはならない、という動物本来が持つ本能のなごりだと考えられています。

人の歩行に限定した場合、エネルギー効率の高い歩き方っていうのはどういうものなのでしょうか?

今回は、その疑問にお答えしたく思います。

Cavagna, G.A., Zamboni, A. 1976. The sources of external work in level walking and running. The Journal of Physiology, 262, 639-657.

Collett, J., Dawes, H., Howells, K., Elswowrth, C., Izadi, H., Sackley, C. 2007. Anomalous centre of mass energy fluctuations during treadmill walking in healthy individuals. Gait and Posture, 26: 400-406.

Vereecke, E.E., D’Aoūt, K.D., Aerts, P. 2006. The dynamics of hylobatid bipedalism: evidence for an energy-saving mechanism. The Journal of Experimental Biology, 209: 2829-2838

Ortega, J.D., Farley, C.T. 2003. Minimising centre of mass vertical movement increases metabolic cost in walking. Journal of Applied Physiology, 99: 2099-2107.

Schepens, B., Bastien, J., Heglund, C., Willems, P.A. 2004. Mechanical work and muscular efficiency in walking children. The journal of Experimental Biology, 207: 587- 596.

Detremblur, C., Vanmarsenille, J., Cuyper, F.D., Dierick, F. 2005. Relationship between energy cost, gait speed, vertical displacement of centre of body mass and efficiency of pendulum-like mechanism in unilateral amputee gait. Gait and Posture, 21: 333-340.

逆振り子運動のメカニズム
まず、人の歩行を「両足が地面に着いている時(両足立脚期)」と「片足しか地面に着いていない時(片足立脚期)」に分けて考えます。前方に体が進むのは、基本的に片足立脚期になりますが、人の歩行は、本来片足立脚期にはエネルギーが必要ないと言われています。

これは、振り子運動と似た原理に基づきます。振り子は、位置エネルギーと運動エネルギーが延々と変換され続けることで、動きが生じています。空気抵抗などが無ければ、理論上この動きは止まることはありません。この振り子運動をさかさまにした形が、人の歩行の原理となっていて、逆振り子運動「Inverted Pendulum」と呼ばれています。横から見れば、体の重心は、片足立脚期において振り子の逆の原理で動いています。つまり、位置エネルギーと運動エネルギーが変換されているが、エネルギーの総量は一定です。もちろん、前方への移動が完璧なエネルギー変換のみで行われることはありませんが、基本原理として片足立脚期は位置エネルギーと運動エネルギーの変換のみで前方へ移動することが可能です。

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リカバリー率で分かる歩行のエネルギー効率
一方で、両足立脚期ではエネルギーが必要とされています。その理由は、逆振り子運動では、振り子運動と違い次の逆振り子運動を始める際にどうしてもエネルギーのインプットが必要になるからです。その際に、後ろ足が地面を蹴ることになります。そして、この蹴る強さが強ければ強いほど、エネルギー効率は下がります。なぜかと言うと、もしエネルギー効率が100%であれば、一切地面を蹴る必要が無くなるからです。これは、足が地面に着地した時に衝撃を感じないことも意味します。というのも、衝撃を感じる代わりに、本来衝撃になるはずだったエネルギーをうまく活用して、次の逆振り子運動を開始させるからです。

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その際、図の「エネルギーのインプットが必要」な区間において、

(1)位置エネルギー

(2)運動エネルギー

(3)総合的なメカニカルエネルギー(位置エネルギーと運動エネルギーの合計)

の3つがどの位上昇したかを計算し、それぞれΔPE、ΔKE、ΔExtで表した場合、エネルギー効率は、リカバリー率で計算することができます。

リカバリー率=(ΔPE+ΔKE-ΔExt)÷(ΔPE+ΔKE)×100%

となります。もしこれが100%であれば、上述した通り、足や下肢関節に衝撃を感じることは無くなります。よって、歩行運動自体からの疲労も限りなく0に近くなります。現実的には、普通の人の普通の歩き方だと60-70%になることが多いと報告されています。リカバリー率は仮に1%でも上げることができれば、その効果は絶大だと考えられます。というのも、例えば歩くことに限定した場合、1日に1万歩を毎日続けると考えた場合、長期的な関節へのダメージなどを減らすのに役立つ可能性があるからです。

エネルギー効率を下げる効果
エネルギー効率は高めた方が、下肢関節への負担が減り疲れにくくなるといったメリットはありますが、デメリットも考えておく必要があります。まず、(ΔExtが無くなるということは)足で蹴りだす必要が全く無くなるということは、筋肉を使う必要が無くなるということで、筋力低下のリスクが生まれます。逆に言うと、エネルギー効率を下げることは、トレーニング効果を生み出すことになります。確かに、疲れを知らず筋肉を一切使わずとも移動できるのはある意味良いかもしれませんが、筋力トレーニングの観点から考えると、エネルギー効率を下げる必要があります。しかし、その場合は下がったエネルギー効率が一点に集中しないように細心の注意が必要です。もう一つ考えるべきことは、ある程度の衝撃を関節に与えることは重要であったりします。例えば、膝の例で考えると、ある程度衝撃を加えることが軟骨の再生などを開始する合図となります。こうした刺激が無いと、筋肉以外の結合組織も弱ってしまう可能性があります。

まとめ

歩行は①片足立脚期と②両足立脚期に分けられ、片足立脚期では重心の位置エネルギーと運動エネルギーを効率的に変換させることで、総エネルギー量を一定にすることができれば、エネルギー効率が高まります。両足立脚期においては、エネルギーのインプットが必要になり、それによって人の歩行は60-70%程度は、エネルギーが再利用されていると考えられています。エネルギー効率を下げることでトレーニング効果が生まれることになりますが、体の一か所に負担がかからないように細心の注意が必要となります。

エネルギー効率を高める効果のあるISEALインソールの使用もご検討ください。かかと着地時の衝撃を活用してつま先離地の際に過度な足の蹴りだしを予防する構造になっています。また、表面の突起は衝撃のエネルギーを一番理想的な道順を通るように足の使い方を誘導してくれます!怪我予防と疲労感の少ないウォーキングのおともに!

(文章:Victoria大学 長野放博士)

【Health Science Blog】Vol.6 「左右非対称な靴って本当に大丈夫なの?」

大手靴メーカーを含む様々な履物で、「左右非対称」とか「アシンメトリー」(asymmetry)などというフレーズを聞くことが多くないですか?

普段は、あまり否定的なことを言いたくはないのですが、この発想は非常に危険であると言えます。左右非対称が肯定できる理由があるとすれば、それは実際に足を診てもらいオーダーメイドで作ってもらう場合のみです。その場合は、例えば右足と左足の形を是正することが目的であれば、左右非対称になることもあるかもしれません。しかし、こうした個別のカウンセリングを行わずして左右非対称にすることは、履物としてプラスであるとは考えられません。

これは、某大手メーカーから始まった傾向であり、「コーナー回りを良くする」などのキャッチコピーが使われていましたが、もしこれが、本当に効果があるのであれば大変なことです。左回りで速くなるのであれば、右回りは厳禁なはずです。そして、真っ直ぐ歩くと徐々に左にずれていくことになるはずです。万一、それでも真っ直ぐ歩くのであれば、右側に体を動かそうとする癖が「ニュートラル」であると錯覚させることになります。当然、どちらかに傾いていくような設計がされた履物が中~長期的に見て問題を生じない可能性は限りなく低いのです。

もちろん、陸上の400mリレーなどコーナーを回ることが前提の競技に限定して使われるのであれば、画期的な発明と言えると思います。しかし、普段履きに活用するのは非常にリスクがあると言えます。

この商品は、最盛期で年間600万足売れて、子供たちが使用しています。私は、陸上競技に限定せずにこうした履物が広く利用されることに危機感を覚えているので、左右非対称が生み出すロコモーションの問題点をまとめたく思います。

さらに残念なのは、空前絶後の大ヒット商品からアイデアだけ取って「左右非対称」「アシンメトリー」と言った「コピーだけ使った履物」が流行ってきていることです。私自身、様々な靴メーカーと話をしてきましたが、まったく何の根拠もなくこうした靴を作ることが、いかに将来的な問題を生み出す可能性があるか・・・ぜひ、以下の報告をご参照ください。

Nagano, H., Begg, RK., Sparrow, WA., Taylor, S. 2013. A comparison of treadmill and overground walking effects on step cycle asymmetry in young and older individuals. Journal of Applied Biomechanics, 29 (2): 188-193.

Nagano, H., Begg, RK., Sparrow, WA., Taylor, S. 2011. Ageing and limb dominance effects on foot-ground clearance during treadmill and overground walking. Clinical Biomechanics, 26 (9): 962-968.

LaRoche, DP., Cook, SB., Mackala, K. 2012. Strength asymmetry increases gait asymmetry and variability in older women. Medicine and Science in Sports Exercise, 44 (11): 2172-2181.

Murray, KJ., Azari, MF. 2015. Leg length discrepancy and osteoarthritis in the knee, hip and lumbar spine. Journal of Canadian Chiropractic Association, 59 (3): 226-237.

Arnold, JB., Mackintosh, SF., Jones, S., Thewlis, D. 2014. Asymmetry of lower limb joint loading in advanced knee osteoarthritis. Gait and Posture, 40 (1): S11.

左右非対称な歩き方は、変形性関節症のリスクを高める可能性がある。

両脚に均等に負担を分散することができなくなった場合は、片方の脚により大きな負担がかかる可能性が増加します。それによって、膝、股関節、腰などで変形性関節症を患うリスクが高まります。これは、脚の長さの差などから生じることもありますが、左右対称な歩き方を目指すことで、こうしたリスクを下げることができると考えられます。膝の例を出せば、O脚への変形などが懸念されます。

左右非対称な歩き方は、転んでケガをするリスクを高める。

左右非対称な歩き方は、転倒のリスクが高まるとの報告があります。その理由としては、左右非対称だと歩行がバラつきやすいということや、「ファンクショナル・アシメトリー(Functional Asymmetry)」と呼ばれる歩き方になりやすいことが挙げられます。ファンクショナル・アシメトリーとは、自信のある脚(通常利き脚)で歩幅をとろうとして、自信の無い脚(通常反利き脚)ではリスクを取らないような歩き方になりがちだという傾向のことを指します。この場合、自信のある脚の方が危険にさらされやすくなる可能性があります。


左右非対称な歩き方は、左右差をどんどん大きくしていく可能性がある。

筋力の強さの差などが、歩き方の左右差に繋がっていきますが、それが続いていくと関節の可動域や筋力の強さに影響が出ると考えることができます。上記のファンクショナル・アシメトリーのような歩き方を続けると、弱い方の脚はさらに弱くなってしまう危険性もあります。よって、左右差は是正しないと、非均一性は増加していくことが予測されます。

このように、左右非対称な構造を持つ履物というのは、例外的なケースを除いては「100害あって1利無し」と言えると思います。
例外は①競技のため、②オーダーメイドで個人の状態に対応するため
などが挙げられます。

左右非対称ソールの靴は変形性膝関節症のリスクを高める.

特に、子供やシニアの方達には、大きな健康被害が生まれる可能性があるため、ご注意ください。

【Health Science Blog】Vol.5 「急いで歩いて疲れた後こそつまずいて怪我をする?」

怪我をする時っていうのは、十中八九、不慮の事故が原因となります。そして、この不慮の事故ですが、普段と異なった何かしらの要因がある場合が殆どです。例えば、外的要因だと、「突然大きな音がしてビックリした」「急に自転車がぶつかってきた」「すべりやすいところを歩いた」などが挙げられます。

一方で、内的要因においても考えておく必要があります。例えば、「考え事をしていた」「体調が優れなかった」「寝不足だった」など、自身のコンディションが原因で怪我をするリスクもあります。もちろんこうした要因は一つずつ精査していくべきで、可能な限りリスクを下げるようにしておくことが大切です。

その一方で、、、私たちの普段の生活において起こり得る状況をシミュレーションしておくことも大切です。今回は、「急いで歩いて疲れた後に、つまずいて転んでしまうリスクが上がるかどうか?」についてのお話になります。

つまずきは、転倒の最大の原因となるため、どういった状況でリスクが高まるかを理解しておくことは重要です。例えば、こんな時を想定しています。

「バスに乗り遅れそうで、早歩きをして疲れてしまった。」
「電車に乗ろうと、階段を駆け足で登っていき疲れてしまった。」
「待ち合わせの時間に遅れそうで、早歩きをしていて疲れてしまった。」

このように、このシミュレーションは、私たちの日常生活において一般的であり、こうした状況の時にこそリスクが高まっているかどうかを理解しておく必要があります。

つま先クリアランスとほかく

今回のお話の題材は、オープンソースでダウンロードが可能です。
この研究は、私が2014年に同僚と行ったものになります。

Nagano, H., James, L., Sparrow, WA., Begg, RK. 2014. Effects of walking-induced fatigue on gait function and tripping risks in older adults. Journal of Neuroengineering and Rehabilitation, 15 (11): 155.

「6分間最大限の速度で歩く」という状況をトレッドミルで行い、その前後で歩き方がどう変わったかを調査したところ、シニアの人たちにとっては、つまずきによる転倒のリスクが上昇したことが分かりました。

これは、歩いている際に、地面からつま先までの距離が、6分間早歩きした後に低下していたことから判断されています。

年齢に関わらず、6分間の早歩きの後に、歩隔がバラついていたことから、左右のバランスも悪くなっていた可能性があります。

つまり、これらの結果から分かることは、「6分間早歩きをして疲れた後は、シニアの人たちはつまずいて転倒をするリスクが高まる可能性がある」ということです。

なので、具体的にどのような策を取るべきか・・・という話においては、以下のようなことが提案できます。

急がないですむようにする。特にシニアの人たちは、時間にゆとりをもったスケジューリングを心掛ける。焦りすぎるくらいなら、乗り物を一本乗り過ごすくらいの気持ちも大切。
急いだ精で疲れた後は、「怪我をするリスクが高い」と常に意識をするようにする。それによって、普段以上に気を付けて歩く。

さらに、ISEALインソールの使用もおススメです。ISEALインソールは、「つまずきのリスクを下げる、左右のバランスを向上する、疲れにくくする」の効果があるので、今回お話した、早歩きをすることで生じるリスクに対して、効果的です。外出する際は、使用をご検討ください。

この研究からのさらなる閃き💡

トレッドミルを歩くことについて
トレッドミルは、ジムにあるランニングマシン(ウォーキングマシン)です。自分で歩く速度を決定して、その場を歩くことができます。この実験は、トレッドミルを使って行われました。つまり、歩く速度を途中で下げたりはできませんでした。なので、研究での報告においては、この点を考慮する必要があります。つまり、「早歩きで疲れたら、少しペースダウンする」という可能性は高いわけで、それによりある程度危険回避ができるかもしれません。

そして、トレッドミルを歩くことですが、これはシニアの方にとっては結構大変なことです。例えば、普通の道を時速4㎞で歩けるシニアの人が、トレッドミル上を時速4㎞で歩くことは困難に感じることが多いのが実情です。大雑把に言ってしまうと、トレッドミルを歩くのは普通よりも難しく、歩行能力が低下してくれば、トレッドミル歩行が難しくなります。だからこそ、安全に行うのは大前提としても、トレッドミル歩行は良い歩行トレーニングになる可能性があります。特に、一定のペースで歩き続けることを強いられるので、バラつきのある歩き方をするのが難しくなります。「年を取ると歩き方がバラつく」傾向があるため、トレッドミルは良い歩行トレーニングになると考えられます。さらに、コンクリートを歩くよりも衝撃が弱いため、足首や膝も痛めにくいというメリットもあります。手すり(ハンドレール)を掴むことも可能ですが、できれば横を持つようにしましょう。前を持つと前方に傾いてしまい、普通の歩き方とは異なってしまうので、注意が必要です。

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エネルギー効率についての考え方
疲れやすいかどうかは、エネルギー効率と大きく関係しています。エネルギー効率が高い動きをしていれば、そう簡単には疲れません。それでは、エネルギー効率とはどのようにして計測することができるのでしょうか?突き詰めていけば同じカロリーでどれだけの動きができるか?という話になっていきます。計測方法は色々とありますが、一つには呼気の二酸化炭素/酸素の割合などから計算していく方法があります。また、歩行においては重心の位置エネルギーと運動エネルギーを計算することで、どのくらいのエネルギー効率で動いているかが分かります。

しかし、最も簡易な方法としてこの研究の中で使用された方法を紹介します。

Physiological Cost Index (PCI)という計算式で以下の式で算出できます。

PCI=(歩いている時の心拍数-安静時の心拍数)÷歩行速度

トレッドミルの中には、心拍数が測定できるものも多いため、安静時の心拍数を知っておけば、PCIを計算することは比較的簡単です。PCIは低い方が、疲れにくい状態であることを意味します。なので、厳密に言うと、エネルギー効率とは異なりますが、PCIが低い状態を保っていれば、疲れにくいと言えます。PCIは「1m進むのにどの位心拍数を打っているか」の指標となります。(速度がm/sで表されていた場合で、通常のトレッドミルではkm/hで表されているので、この解釈は使えません)。この研究からは、通常に歩いている場合は、シニアの人たちの方が3倍ほどPCIが高いことが報告されています。

危険な状況だと疲れやすい?
この研究から分かったこととして、「6分間可能な限り早く歩いてください」という指示に従った結果、若年層はかなり肉体的に疲労した半面、シニア層はそこまで肉体的な疲労を得ていないということです。これらは、PCIや心拍数を見た時に、シニア層は、そこまで限界まで追い込んでいないことが分かるからです。しかしながら、主観的な疲労感を聞いたところ、両年齢層において、同等レベルの疲労感が報告されています。

よって、物理的な疲労を示すデータが無くとも、感覚的には同じくらいの疲労感があったということが示されています。これは、先述した通り、トレッドミルの上を歩いたから という可能性があります。シニアの人たちにとって、トレッドミルを歩くことは容易ではないため、普段以上に気をつかう必要が生じて高い疲労感を得た可能性があります。もしそうであれば、この研究が示した「6分間の早歩きをして疲れた場合、シニア層はつまずいて転ぶリスクが高まる」という結論に加えて、「疲れたと感じたら、リスクが高まる」という仮説も成り立つかもしれません。

(文章:Victoria大学 長野放博士)

【Health Science Blog】Vol.4「運動前のストレッチはするべき?」

2021年がスタートして、「今年こそは!」と決意して運動を始める方も多いと思いますが・・・ちょっと5分ほどお時間を頂いてストレッチについて勉強してみてください。
私自身、子供のころから野球・テニス・バスケットボールなど様々なスポーツをしてきました。これらのスポーツに共通していたことは、まずはじめに簡単なジョギングとフットワークを行い、その後にストレッチをして、それから本格的な練習に入っていったということです。
運動系の部活を経験した方にとっては、比較的自然な流れだと思うのではないでしょうか?
しかし、実はこの常識のような話が実は間違っているのではないか?とスポーツ科学界で言われてきています。
それは、ケガのリスクという意味においても、パフォーマンス低下という意味においても、ストレッチは正しく行う必要があるということです。

主な参考文献は以下の通りです。2005年でのまとめと2019年時のまとめを比較して、考察しています。オープンソースなので、全文ダウンロード可能です。
Anderson JC. 2005. Stretching before and after exercise: effect on muscle soreness and injury risk. Journal of Athletic Training, 40 (3): 218-220.
Chaabene, H., Behm, DG., Negra, Y., Granacher, U. 2019. Acute effects of static stretching on muscle strength and power: an attempt to clarify previous caveats. Frontiers in Physiology, 10, 1468.
Opplert, J., Babault, N. 2018. Acute effects of dynamic stretching on muscle flexibility and performance: an analysis of the current literature. Sports Medicine, 48 (2): 299-325.
O’Sullivan, K., Murray, E., Sainsbury, D. 2009. The effect of warm-up, static stretching and dynamic stretching on hamstring flexibility in previously injured subjects. BMC Musculoskeletal Disorders, 10, 37.

そもそもストレッチは、筋肉や腱を伸ばすことで柔軟性を高め、関節の可動域を拡げる効果があります。長期的に見れば、パフォーマンスの向上や怪我の予防に役立つと言われています。しかし、運動前に行うことは何か効果があるのでしょうか?短期的に筋肉や腱を伸ばすことで一時的に柔軟性などが上がるのでしょうか?そして、そのような変化は、本格的な運動に対してパフォーマンスを上げ怪我のリスクを下げるような効果が期待できるのでしょうか?この問いに関しては、未だに完璧な結論は出ていませんが、過去研究の中で共通認識になっていることを以下にまとめています。

運動前に行うストレッチの種類
ストレッチにも色々な種類がありますが、大きく分けると静的か動的かに分かれます。静的ストレッチとは、文字通り体を動かさずに行うもので、動的ストレッチは動きの中でストレッチを行うものです。動的ストレッチにおいても、反動を使うものと使わないものに分かれていたり、Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(PNF)と呼ばれる手法もあります。もちろん、これらはそれぞれ異なった役割があるのですが、運動前にトレーナーなどの指示なくとも独りで比較的に安全に行えるストレッチに限定してお話をします。
静的ストレッチとは、昔から行われてきた手法であり、体を動かすことなく筋肉を伸ばしていくことにより、柔軟性や可動域を向上させるものになります。「ストレッチをしている時に反動を使っちゃだめだ!」と言われた方も多いと思います。しかし、運動前に静的ストレッチを行うことが本当に有効かどうかについては疑問が残ります。

静的ストレッチは、パフォーマンスを落とす可能性があるが、1分以内で行えばそこまでパフォーマンスを落とさない可能性がある。
まずはじめに、静的ストレッチを運動前に行うと、パフォーマンスが低下することが報告されています。特に、パワーを要するスポーツにおいては、運動前に静的ストレッチをすることは最大限の能力を発揮するのが難しくなるようです。例えば、ダッシュするスピードや最大ジャンプ力などは低下する可能性が高いと言われています。
しかし、これらの報告をさらに検証していくと、ストレッチをしている時間が問題になるようです。例えば、1分以上同じ場所を伸ばしていると、最大パワーが減少するが、それ以下の短い時間であればそこまで減少しないという報告もあります。なので、100m走の大会やサッカーの試合など、パフォーマンスを競い合う場面でなければ、軽い静的ストレッチはマイナスにはならないかもしれません。

静的ストレッチには、怪我予防効果は少ない。
運動前にストレッチをすると怪我の予防に繋がるというのは、一般的に考えられてきたことですが、最新の科学において運動前のストレッチに怪我予防効果が認められたケースは殆どありません。

ストレッチには筋肉痛予防効果は無い。
運動の前後に関わらず、ストレッチによって筋肉痛を予防できたとする報告は殆どありません。

動的ストレッチは、運動前に行うことで良い効果がある可能性はある。
動的ストレッチを運動前に行うことで、筋肉と腱を柔らかくして、可動域を上げ、筋肉の温度を上昇させる効果が報告されたケースもあります。ただし、Ballisticストレッチと呼ばれる、強く反動を使うようなものは、トレーナーなどの指導無しに行うことは推奨されていません。例えば、「首を回す・肩を回す」など、過度な強度を必要としないものを運動前に行うことは、良い効果があったとする報告があります。

運動前に行うストレッチは、ウォームアップと組み合わせると効果的である可能性が高い。
これは、軽くジョギングをした後にストレッチを行う、という昔ながらのやり方が正しいということを示唆しています。しかし、ウォームアップとストレッチを組み合わせた場合と、ウォームアップのみを行った場合でどちらの方が効果的かどうかは、未だに分かっていません。

ストレッチの種類

まとめ
運動前にストレッチを行うのであれば、ウォームアップと組み合わせることが推奨されます。また、反動を使うようなストレッチは、プロのトレーナー無しに行うのは避けましょう。ストレッチを行う際は、伸ばしすぎないことが大切です。時間にして、1分以上一か所を伸ばすと、パフォーマンスが落ちる可能性があります。運動前にストレッチをすることが何かしらに役立つという決定的な報告は少なく、効果的なウォームアップが大切になります。よって、次回はウォームアップについてお伝えします。

最後に・・・運動時に足首の捻挫や下肢関節への負担を予防し、バランスを維持させることがバイオメカニクスの観点から証明されたISEALインソール。「世界で最もイノベーティブな新しいケア商品賞」を2017年から3年連続で受賞したこの商品もよろしくお願いいたします!特許としては、Injury Reduction Insoleとして取得されていて、怪我予防効果が認められています。

(文章:Victoria大学 長野放博士)

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【Health Science Blog】Vol.3「久しぶりに運動を開始する際の注意点は?」

新年あけましておめでとうございます。

2020年は全世界にとって激動の年となりました。

私自身も、1年の9割近くは自宅やホテルの中で過ごしていたと思います。私が生活をしているオーストラリアのメルボルンでは、事実上4月~10月末までの期間、外出などに大きな制限がかかっていました。「運動の時間」というのは許されていて、「1日1時間自宅から5㎞圏内でマスクをしながら行う」などの厳しいルールはあったものの運動不足解消も兼ねて、メルボルンの市民にとっては非常に大切な時間だったかと思います。

しかし、2021年が始まった今でもコロナ騒動は決して収まったわけではなく、世界各地で「運動不足」が顕著な問題として表面化してくることが予測できます。特に心身の健康面に不安を抱えている人たちにとっては、運動不足が重大な二次被害をもたらす可能性があるため、そうした点での対策も必要になってきます。

2020年に運動不足を経験した人達にとって、「よし、今年は運動をしっかりやるぞ!」と決意をするのは非常に良いことです。しかし、ここで意識して頂きたいのは、「体がかなり弱っている」という可能性です。つまり、昨日まで運動不足だった人が今日から毎日10㎞ずつ走ることが良いことかどうかは疑問です。

歩行バイオメカニクスの観点から考えると、運動不足な状態から突然ウォーキングやジョギングを始めた場合の問題点は、足・足首・膝・腰の故障が挙げられます。今回は、①なぜそのようなリスクがあるのか?②どうすればリスクを軽減できるか についてお話したく思います。

Nagano, H., Tatsumi, I. Sarashina, E., Sparrow, W.A., and Begg, R.K. 2015. Modelling knee flexion effects on joint power absorption and adduction moment. Knee, 22 (6): 490-493.

今回は、私が行った歩行シミュレーションに基づく論文を参考にしています。この論文は膝の話ですが、同様のメカニズムから足・足首・腰などにも当てはまっていく内容となっています。その他、力学の基礎を交えてお話をしております。論文は、オープンソースではありませんが、概要のみはこちらから確認できます。その他研究機関などに所属の方は、全文読めると思います。所属が無い方でも購入することは可能です。(米ドルで$35.95)

ウォーキングやジョギングを突然始める危険性

ウォーキングやジョギングの体に対するダメージは、主に足が着地した時の衝撃にあります。この衝撃は、足・足首・膝・腰の順番に伝わっていき、理想的にはそれぞれの場所で少しずつ衝撃を吸収させていき、一か所に負担が集中しないようにすることが大切になります。

「衝撃の吸収」とは、結合組織(例:骨・軟骨・腱・靭帯など)を振動させたり、収縮させたり、温度を上げたり、音をたてたりすることで行われます。この際に、筋肉が大切な働きをしています。例を挙げれば、大腿四頭筋の収縮によりこうした衝撃を吸収させる効果があります。同様に、下腿三頭筋や前脛骨筋などにもそうした役割があります。また、足のアーチにも衝撃を吸収するメカニズムが備わっています。

これらは、「伸張性収縮(Eccentric Contraction)」と呼ばれる筋肉の収縮のしかたによって行われています。伸張性収縮とは、筋肉を伸ばしながら筋肉を使う方法です。これだけ聞いても分かりにくいと思うので、いくつか例を挙げます。

ジャンプして着地した時に膝を少し曲げるとき、大腿四頭筋は伸びているが使われている。
重い物をゆっくりと地面に下ろすとき、上腕二頭筋は伸びているが使われている。
このように筋肉は普通収縮する時に縮むのですが、ゆっくりと伸ばしていく時にも使われています。この伸張性収縮が無ければ、膝を曲げずに着地することになり、膝への衝撃は強くなります。重い物をゆっくりと地面に下ろすときも、上腕二頭筋を使わなければ、全部そのまま落としてしまうことになります。

伸張性収縮

このように筋肉の伸張性収縮がウォーキングやジョギング時の衝撃吸収に非常に重要な役割を担っているのですが、運動不足は当然筋肉が弱くなるので、この衝撃吸収メカニズムの働きも弱くなります。これらを強くするためには、ウォーキングやジョギングは有効ですが、どのようにして行うのが良いのでしょうか?年始から運動を再開したい人たちに向けて、以下の方法をお伝えします

運動不足後にウォーキングやジョギングを始める際に注意すること5つ

コンクリートをできるだけ避ける
最も簡単な注意点は、できるだけコンクリートの上を歩いたり走ったりすることを避けることです。簡単な例えを挙げると、卵をコンクリートの上に落としたら割れますが、草むらの上であれば割れないかもしれません。これは、足首や膝に対しても同じで、柔らかい地面を選ぶことをおすすめします。土や草むらはベストですが、そうした場所があまり無い場合でも木の床やトレッドミル(ランニングマシン)などを活用する方が、コンクリートよりはだいぶ衝撃が緩和されます。

水泳やサイクリングを取り入れる
ウォーキングやジョギングは、心肺機能に働きかける運動として有効ですが、下肢関節への負担を考えると、水泳やサイクリングの方が安全な面もあります。ウォーキングやジョギングを突然始めると体を痛める可能性がある場合は、水泳やサイクリングなどから始めてみることが推奨されます。

屋内であっても靴下やスリッパを履く
これも硬いコンクリートの上を避けるべきだという話と似ていますが、靴下やスリッパなどを屋内で履くことで、足の着地を柔らかくすることができます。靴下やスリッパ程度で効果があるの?と思う方も居るかもしれませんが、継続的に使用していれば一定の効果が期待できます。

力学的に言えばF=m.v/tという数式の中で、tを大きくするという説明になります。このtは時間を意味していて、足が着地してからクッションがすべてつぶれるまでの時間を表します。なので、仮に靴下一枚の効果が0.01秒を0.02秒にするだけであっても、衝撃は半分になると考えることができます。逆に言うと、裸足で硬い床を歩くことは危険だということです。しかし、靴下やスリッパの着用はすべったりつまずいたりするリスクを上げる可能性があります。転ばないように、最大限の注意をしましょう!

筋トレを併用する
大腿四頭筋・下腿三頭筋・前脛骨筋・つま先の屈曲筋群のトレーニングを行ってから、ウォーキングやジョギングを始めることで、下肢関節にかかる負担を軽減させる効果があります。特に、伸張性収縮(図x参照)を意識すると効果的です。

履物を活用する
ウォーキングやジョギングをする際には、衝撃吸収力の高い靴をおすすめします。これは、かかと部分のクッション性が一番大切になります。底が薄い靴は、協議では活用できるかもしれませんが、トレーニングでは避けた方が無難です。あとは、ISEALインソールも、衝撃吸収性に加えて、衝撃吸収しやすいような足首の動きを再現することをサポートしたり、エネルギー効率を高めて衝撃をウォーキングやジョギングで前に進む推進力に再利用したりする効果があります。ぜひ、ご活用ください。

砂コンクリート

(文章:Victoria大学 長野放博士)

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【Health Science Blog】Vol.2「脳卒中からの歩行リハビリの最先端トレーニングって何ですか?」

コロナウイルスの蔓延により慢性的な運動不足に苛まされているのは、大袈裟ではなく世界人類全体の話になります。
感染拡大を抑えるためには、人との関わりを減らし、外出を可能な限り自粛することが世界各地で推奨されてきました。日本は、比較的規制が緩やかですが、欧米諸国では厳しい罰則の伴う外出制限などが行われてきました。
私が住むメルボルンでも、ロックダウンは数カ月以上に長期化し、自宅から5㎞圏内という条件で運動と日用品の買い物のみ1時間以内という時間制限付きで許されていた時期もありました。(そのかいあって、11月からは感染者がほとんど出ていない状況が続いてきましたが・・2020年12月31日現在)
前回のお話で、外出を自粛することで起こりやすい「ビタミンD欠乏症」のお話をしましたが、それに関連して高血圧・心臓への負担・悪い血液循環などが脳卒中を引き起こす可能性が増えます。
脳卒中は、脳の血管が詰まってしまったり破裂することで、死亡の原因として常に上位に挙げられています。一命をとりとめた場合でも、様々な障害が残ることがあります。
運動機能に関連した障害としては、麻痺が残って歩くことがままならなくなることが多々あります。こうした症状は、効果的なリハビリを行うことで改善されることがありますが、今回は最先端の科学トレーニングについてお話させて頂きます。
特に、課題となっている問題としては、脳卒中からのリハビリ中につまずいて転んでしまうことが挙げられています。脳卒中が、比較的高齢者に多いことから、転倒による二次被害を可能な限り予防することが大切になります。
 
今月(2020年12月)にBrain Sciencesにて掲載されたオープンソースの論文を紹介します。
この論文は、私の研究チームがAustin HealthやWestern Healthという病院グループと共同で行ったものであり、最先端のテクノロジーを駆使したBiofeedback(バイオフィードバック)トレーニングのパイロット・テストになります。以下が、論文となります。
Nagano, H., Said, CM., James, L., and Begg, R. 2020. Feasibility of using foot-ground clearance biofeedback training in treadmill walking for post-stroke gait rehabilitation. Brain Sciences, 10 (12), 978.
コチラから全文を確認できます。
片麻痺性の脳卒中は、歩行能力に悪影響を与えリハビリ中に転倒のリスクを上昇させる。つまずきは、転倒の最大の原因であり「足が宙を前方に移動しているときに、地面からの距離をある程度維持できている」ことにより、そのリスクは軽減できる。

図1 つまずき予防のバイオメカニクス:Minimum Foot Clearance (MFC)
Biofeedback1

歩いているときにつまずく場合は、大きく分けて二つに分類することができる。
① 歩いていたら気づかなかった障害物につまずく
② 障害物を乗り越えようとして失敗する
このうち②のケースは、「障害物を認識しているにも関わらずつまずく」ということになるので、普通に歩いていてつまずくのとはメカニズムが異なる。
今回は、①歩いていたら気づかなかった障害物につまずく に限定して考えた場合、図1のMFCと書かれている地点での足の地面からの高さを維持することが重要になる。
つま先が地面から離れた直後の方が、足自体の高さは低いが、足の速度が低いことや、反対の足がバランスを支えやすい位置にあることから、転倒には至りにくいと考えられている。
よって、MFCを
① 高くする
② 毎ステップできるだけ同じ高さを維持する
③ 左右差を無くす
の3つがつまずきによる転倒予防に役立つとされている。

図2 つまずき予防のためのBiofeedback(バイオフィードバック)トレーニング
biofeedback2

動作解析システムを活用したつまずき予防のトレーニングとして、Biofeedback(バイオフィードバック)がある。(図2参照) 脳卒中患者のつま先にマーカーをつけ、足の動きを前方のモニターに映し出し、どのくらいの高さに維持するかの目標を決めて、毎回その目標の間につま先の高さをコントロールする練習を行う。(図2の2本の平行線の間にMFCが入るようにする)
このパイロット・テストでは、6人の脳卒中患者に対して全8回のバイオフィードバック・トレーニングを1カ月という期間で行った。トレーニングの前、直後(1カ月後)、そしてトレーニング終了から一カ月後 の三回を計測比較したところ、バイオフィードバック・トレーニングが脳卒中患者のつまずきのリスクを下げる可能性が示唆された。
現在、さらに大規模な実験データを分析していて、2021年中には成果の論文発表を行う予定です。
「予防」は医療制度がひっ迫している状態においては、非常に大切なテーマです。
なので、脳卒中にならないように、適度な運動、日光浴、脹脛のトレーニング、バランスの取れた食事などを心掛けることが、コロナによる自粛生活においては大切になります。
しかし、それでも万一脳卒中になってしまった場合は、こうした最先端トレーニングを行うことでつまずきのリスクを下げることが大切になります。

バイオメカニクスのテクノロジーに基づき開発されたISEALインソールも、MFCを上昇させつまずきによる転倒のリスクを軽減する効果があります。ぜひご活用ください。

(文章:Victoria大学 長野放博士)

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【Health Science Blog】Vol.1:「日光を浴びないとどんな問題があるの?」

2020年は、コロナウイルスとの戦いに追われた1年となりました。

そして、ワクチンの開発など明るい話はあるものの、2020年の年末を迎えた現在、未だに出口がはっきりと見える状態ではないのが現実です。

厄介なのは、感染を避けるためには様々な自粛を行う必要があるということです。

私事になりますが、私も2020年のほとんどをオーストラリアの自宅兼オフィスにて独りで過ごすことになりました。

私が住んでいるメルボルンでは、外出に対して厳しい規制がかかり、ピーク時には「1日に1度自宅から5㎞圏内にて(1時間以内で)買い物と運動をする以外は自宅から出てはいけない」という状況が数カ月続きました。

これにより、コロナウイルスの蔓延は2020年の年末メルボルンのあるビクトリア州においては、封じ込めに大きく成功したと言えますが、他の健康被害が生まれてきました。

例えば、筋力低下、血液循環の低下、メンタルヘルスの低下など、自宅で閉じこもることには大きな弊害もあります。

その中、私自身も体調を壊して病院で診断された症状が

「ビタミンD欠乏症」です。

日光に当たることでビタミンDを得ていた私たちが自宅などで自粛をして日光を浴びないと生じることになりやすいビタミンD欠乏症ですが、どのような健康被害が生まれるのでしょうか?

そして、その対策としてはどういったものがあるのでしょうか?

今回は、まとめ論文から抜粋して情報をお届けいたします。

原著論文に関してはオープンソースとして閲覧可能です。

Nair, R., and Maseeh, A. 2012. Vitamin D: The “sunshine” vitamin. Journal of Pharmacology and Pharmacotherapeutics, 3 (2): 118-126.

ビタミンD欠乏症は、世界人口の半分くらいに影響を与えています。その理由は、ライフスタイルや環境問題などによって、太陽の紫外線が皮膚にあたることで作られるビタミンDを減らすことが挙げられます。

ビタミンD欠乏症によって生じるリスクは以下の通りです。

心臓病
骨折
転倒
自己免疫疾患
インフルエンザ
タイプII 糖尿病
うつ病
大腸がん
高血圧
肥満
認知症
パーキンソン病(可能性あり)
また、寿命が縮むことも報告されています。これらを避けるために、ビタミンDのサプリメントを取ることが推奨されています。

ビタミンDにはD2とD3があり、人が日光を浴びて精製するのはD3となります。D2は、鮭やサバなどの魚や太陽を浴びたキノコなどから摂取できます。ビタミンDは、リンパに吸収され静脈に入ります。肝臓と腎臓の酵素によって、ビタミンDは変化し、カルシウムとリンの吸収を、それぞれ30-40%・80%ほど向上させます。

日焼け止めクリームを塗ると、(これについてはまだ結論は出ていないものの)95%程度ビタミンDの精製を抑制してしまいます。また、肌の色が濃い人の方が、ビタミンDの精製にはより日光を必要とします。

食事だけでビタミンDを補うことは難しく、日光に当たることが大切になります。宗教上の理由や日焼け防止のために日光に当たらないことが、ビタミンD欠乏症を引き起こす可能性が高くなります。

以上、簡単なまとめになります。詳しく知りたい方は、オープンソースになっている論文をご参照ください。

外を歩かないと日光には当たりにくいですが、上記にもあったように転倒や骨折のリスクが高くなってしまうビタミンD欠乏症。

アウトドアのウォーキング時には、ぜひISEALインソールをご活用ください。

(文章:ビクトリア大学 長野放博士)

vitamin D insufficiency